お正月、早く来いこい - sei9nen9のブックケース

今年は、あまりにも嫌な事件が多かったので、早くお正月を迎えて、きれいさっぱり厄落としをしなくては思っていたら、岩波アクティブ新書『江戸売り声百景』宮田章司という本がでてきた。宮田さんは、1933年東京生まれ、日本で唯一の江戸売り声の漫談家で、｢和田弘とマヒナスターズ｣の専属司会者だったことがある。この本の付録CDに収録されている宮田さん本人の物売りの売り声はたいへん貴重なものだ。

むかし、お正月には、｢お宝売り｣がきた。｢えー、お宝、お宝お宝を｣って言いながら、街まちにやってくる。いまからみると、他愛のないものだが、七福神の乗った宝船の刷り物で、これを元旦に買って、その夜か二日の夜に、枕の下に敷いて寝るといい夢が見られるという、吉夢を呼び込むための縁起ものです。初夢グッズだ。

おおらかというか、無邪気というか、人びとの神経が、現代のように、ササクレたっていませんよね。宝くじ３億円のように即物的ではないのがいい。幸福を招くとされる、恵比寿さん、大黒天、毘沙門天、弁財天、布袋さん、福禄寿、寿老人の七福神めぐりは、東京でも、深川、日本橋、谷中、柴又、各地にありますね。

現代のお正月は、縁起を担ぐというよりは、景気をつけろ、と鳴り物入りで祝うようだ。東京・お台場のMEGA WEB（メガウェブ）では、2007年1月1日から8日まで、お正月イベント「太鼓ドンドン祭り--今年もどんどんおいでよ、メガウェブに」を開催する。

期間中は､太鼓のステージイベントをメインに、元日から3日間は､縁日を仕立ててお客様に新年気分を味わってもらう。「太鼓ドンドン祭り」では､日本古来の「和太鼓」､沖縄の「創作エイサー太鼓」、アフリカ伝統音楽で使われるジェンベ等の「アフリカンパーカッション」がそれぞれの音色で新年を奏でる。また､「縁日」イベントでは、クルマにちなんだカードゲーム形式や輪投げ､小さいお様でも楽しめる「ヨーヨーつり」も設置。ほかにも、その場で素敵な賞品が当たるスタンプラリー抽選会も予定している。

太鼓ドンドン祭り--今年もどんどんおいでよ、メガウェブに--
■開催期間：2007年1月1日（月祝）−8日（月祝）
■場所：トヨタシティショウケース 1階
開館時間：11:00−21:00
■入場料：無料（30日 14:02）
http://autos.goo.ne.jp/news/society/article_88848.html

物売りの声で明ける朝

朝一番に、聞こえてくるのが、
｢なっと、なっとぉーなっと。なっとーみそまめ〜｣、
あるいは、
｢あさりーーしーじーみーよぉーいっ。あさりーーむきみよぉーい。あさりはぁーまぐりよぉーい｣。
また、朝売りに来る佃煮で、葉唐辛子というのがあった。
｢とんがらしやーい、とんがらしやぃ、え、はとんがらしやーい、とんがらしやぃ、はとんがらしやーい、とんがらしやぃ｣。

最後に、あの有名な｢蝦蟇の油売り｣の口上を。

さて、お立会い。ご用とお急ぎのない方はゆっくりとお話を聞いてごろう。目の前におりますこの蝦蟇は、野原や縁の下におりますところの仲間とはちょっと違います。甲州は伊吹山オンバコという露草を食べて育ちましたところの、四六の蝦蟇。四六と五六がどこで分かれているかと申しますと、前足が四本後足が六本。一年のうち、三月の声聞きますれば、甲州は伊吹山のふもとの一山に登り、四面鏡、下金網の中に蝦蟇を追い詰める。小心者の蝦蟇は、おのが姿鏡に映り、流す汗がたらーりたらり。柳の小枝を一尺二寸、三七＝二十一日とろーりとにつめましたのが、さて、お立会い、この蝦蟇の油。

文字で見るのも、また、一興でしょう。どなたか、パロディに挑戦しませか。

一行コメント：昔の物売り声収録のＣＤが貴重