年の暮れくらい、日本の国を振り返ってみませんか

きょう22日、1年で昼が最も短くなる冬至上野動物園では、人間の習慣にならって動物たちにユズやカボチャが振る舞われました。「寒さに負けずに風邪を引かないで」との願いを込め、ユズ約10キロ、カボチャ約50キロを用意して、ゾウやクマなど12種類の動物たちに与えました。サル山のプールはユズ湯に早変わり、ニホンザルが気持ち良さそうにお湯につかり体を温めたという。少し、気がやすまりますね。ここにも日本の伝統が生きています。


いつも、ハットするような発言をされる人類学者の中沢新一さんが、折口信夫を語るという。これは絶対に見逃せない。「NHK知るを楽しむ・私のこだわり人物伝―折口信夫」で4回にわたり、お話を聴く機会を得た。演題「口信夫―古代から来た未来人」の副題‘古代から来た未来人’に、講演の内容が象徴的に表現されている。



中沢さんは、三十数年にわたり、折口信夫を読み続けてきたという。いくつかの文章のさわりなどはしっかり暗記していて、空で朗読することができるという。ほんとうの愛読という行為は、こういう状態を云うのでしょうね。折口信夫を語る最適任者は、ほかには、いないでしょう。中沢さんが折口信夫を語るとき、中沢さんに折口信夫が憑依したのではないかと感じられる瞬間が、何度かありました。


中沢新一。1950年、山梨県生まれ。東京大学文学部卒業。チベットで仏教を学び、帰国後、人類の思考全域を視野にいれた研究分野(精神の考古学)を構想・開拓。近著に『カイエ・ソバージュ』全五巻(講談社選書メチエ)、『僕の叔父さん 網野善彦』(集英社新書)、『精霊の王』『アースダイバー』(講談社)、『芸術人類学』(みすず書房)などがある。現在、多摩美術大学美術学部教授、同大学芸術人類学研究所所長。


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折口信夫が描く古代とは、単なる時代区分ではなく、誕生当時の人類を視野に入れた壮大な概念だった。自然とともに暮らし、精霊と生きた人々の時代を折口は「古代」と名付けた。彼は古代人の考え方の特徴を「類化性能」と呼ぶ。


物事を比較するときに、似た性質に注目する思考方法のことだ。折口自身もこの方法を駆使して、古代人になりきることで「古代」の姿を明らかにしようとした。文献に残っていない物を鋭く取り出してみせる能力、中沢新一さんは、折口の学問の魅力がここにあると言う。


25歳の時、折口は志摩・熊野地方を旅し、海の彼方に「母の国」があると直感した。後年、沖縄で本土より古い形の信仰が残っていることを発見し、折口は「まれびと」の概念をまとめあげる。海の彼方には、この世とは違う「常世」があり、そこから時と場所を決めて神=「まれびと」がやって来る。折口は「常世」「まれびと」の言葉で、古代の人々の信仰の構造をあきらかにした。死の感覚が薄くなっている現代にこそ、折口のまれびと論が思い出されるべきだと、中沢新一さんは語る


折口信夫は芸能をこよなく愛した人物でもある。彼が生まれた大阪は、奈良時代から続く高尚な神楽から、いかがわしい演芸までが混在するコテコテの芸能世界であった。芸能の発生において、折口が注目したのが能の「翁舞」である。常世からやって来る翁こそ、古代人の見た神の姿を色濃く残している。そして芸能にたずさわるすべての人々の中に、神に仕える古代の宗教者の姿を見てとるのだ。折口が到達した芸能への鋭い洞察について考える。


折口は自分の考えを論文であらわすだけでなく、小説やシナリオなど様々なメディアを活用して表現した。彼の小説の最高傑作が「死者の書」である。奈良時代の中将姫伝説に着想したこの小説は、死霊と人間が交流する姿を描き、近代文学の異色作とも言われている。この小説は日本人がどのように仏教を受け入れたかを描いたものであると、中沢さんは考えている。それは、古代の精神を大切にしつつ、発展していくことが大切だという折口の思想そのものである。折口が残した膨大な著作から、現代の私たちへのメッセージを読み解く。
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典拠サイトhttp://www.nhk.or.jp/shiruraku/200611/tuesday.html



この機会に折口信夫の原文をほんの少し見ておきませか。


日本美(冒頭部分)

折口信夫

私は日本の民俗の上からお話を申し上げたいと思つてゐます。譬へば、貴女方が花をお活けになる、さうした我々に芸術的感銘をお与へにならうとする花よりも、もつとうぶな花、宗教的な花の話をしてみたいと思ひます。


八月の月見、日本では月見が存外新しいことのやうに思つていらつしやるかも知れませんが、世の中の習慣は印象の深いものだから、月見が来ると花をお供へになるでせう。何故月見に花を供へるか。この花と立花・生花と、何か関係があるのではないかとお思ひになつたことはありませんか。


そして月見の行事の心の底には、昔から伝つてゐるお月様を神様と感じる心が残つてゐる。さういふ風に昔の人が、月夜見命などゝいふ神典の上の神の感じとは別に、月の神を感じて居り、その月の神に花をさしあげるのが、月見といふのです。月見はお月さんのまつりのことです。その花をどうするかといひますと、あれは今日西洋式の宴会を開きますと、色々な花を飾る。さういふ風に、日本でも昔から花を飾つてゐます。


その証拠には婚礼の時、以前には何処でも行つたことですが、今は特に古風な婚礼の場合にしか見かけなくなりました。座敷に島台を飾つておきます。高砂の尉と姥の飾りつけをした、この島台は何かと申しますとこれが宴会の花と同じことなのです。島台のことを古くは州浜と言つてゐます。水の流れてよつてゐる洲のことで、島台の形に何かうね/\した波の寄る砂浜の様子が見えてゐるからかう言ふのでせう。(以下略)

底本:日本の名随筆58 月
版社:作品社
初版発行日:1987年(昭和62年)8月25日

引用サイト(青空文庫):
http://www.aozora.gr.jp/cards/000933/files/5012_14231.html




一行コメント:戦中から戦後にかけての独特な歌舞伎評

かぶき讃 (中公文庫)

かぶき讃 (中公文庫)



一行コメントチベットで仏教を学んだ経験が生きる

チベットのモーツァルト (講談社学術文庫)

チベットのモーツァルト (講談社学術文庫)



心に花を:スチールグラス
http://www.flowercity.jp/flower_contents_sub1/contents_detail.htm?idx=439&menu=birth


後で見るサイト
日本の技術者に酒をおごって技術を学び、副社長まで上り詰めた男
http://ck.rd.livedoor.com/ck/n06122118/1220/

石原都知事の眠れぬ夜は続く
http://ck.rd.livedoor.com/ck/d06122214/1221/


世界のどかでなにかが
http://www.wastours.jp/report/cyprus/index.html



明日の六曜:友引


明日の日の出(東京):06:47 
明日の日の入り   :16:32
国立天文台天文情報センター)
http://www.nao.ac.jp/koyomi/



今夜の一杯:エギュベル・クレームドアプリコット(フランス産リキュール)
http://www.alak.jp/shop/detail/k048.html


まだ、英語の勉強を続けている方へ:Forgive Me Sister
http://www.the-jokes.com/jviewer.php?clavech=173&cat=fest&cla=tcla&sort=fecha&id=Search&row=0&chquery=171+172+173+174+175+176+177+178+179+180+196



タータンチェックの美:Rainbow
http://www.tartans.scotland.net/tartan_info.cfm?tartan_id=2653



BBC NEWS International version HEADLINE:
US marines face Iraq murder trial
Eight US marines have been charged over the deaths of 24 Iraqi civilians in the town of Haditha last year.
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6198947.stm



Al Jazeera English HEADLINE:
Deadlock looms at N Korea talks
Four days of negotiations aimed at persuading North Korea to dismantle its nuclear weapons programme have entered their final day with no signs of a breakthrough, the head of the US delegation has said.
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/B7A5B621-FFCF-4659-A4EA-18EAEAC44533.htm


中国 CHINA.ORG.CN International HEADLINE:
China Hopes 1st Sino-Japanese Joint History Study Proceed Well
China hopes the first joint study between China and Japan on history, which will start next Tuesday, can proceed well, Foreign Ministry spokesman Qin Gang said yesterday.
http://china.org.cn/english/FR/30.htm



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暖かに冬至の宵を小買もの
星野立子

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I wish you a Merry Christmas.

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