みずほ銀行トラブルにみるリーダーシップの欠如

「偽のベテラン、真のベテラン」という章題の下に、‘みずほ銀行トラブルにみるリーダーシップの欠如’との見出しを付けられても、失敗学の畑村洋太郎先生(工学院大学教授)には、みずほ銀行の首脳陣もグーの音も出せないしょう。かねがね、一流企業のトップにまで登りつめた人たちが、部外者には初歩的と思えるミスで、世間の耳目を驚かすのかと不思議に思っていました。この講義で氷解しました。


2004年、富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行経営統合して誕生したばかりのみずほ銀行で、口座振替が遅れたり、大量の二重引き落としが発生するなど、情報システムにさまざまなトラブルが起きた事件を取り上げて、畑村先生は失敗学の目を通して、そのの原因を小気味よく究明していきます。


これは、NHK教育テレビ・シリーズ「知るを楽しむ」<この人この世界>8月9月『だから失敗は起こる』8回放送のうち第6回放送分の冒頭をお伝えしたものです。みずほ銀行の首脳陣は、実は、リーダーシップの欠如した偽ベテランたちであったことが解明されていきます。組織に身を置く者にとっては、他人事ではなく怖いくらいです。


人間が関わるところには、必ず「失敗「が現われる。しかし、その大部分は、事前予測が可能なものばかり。どうしたら不必要な失敗を防ぐことができるのか。2004年3月26日、「六本木ヒルズ」内森タワー二階正面入り口で、六歳男児が自動回転ドアに頭を挟まれた事例から、雪印食品の「牛肉偽装事件」、「牛丼一筋」の吉野家を襲ったアメリカからの牛肉の輸入禁止問題など、不謹慎ながら、興味深い事例が、陸続と登場してきます。


「美しい日本」を標榜する安倍晋三内閣は、いま、世界の中で、難しい局面を迎えていますが、国家百年の計、失敗は許されません。お節介ながら、畑村洋太郎先生を顧問に招聘してはいかがでしょうか。


失敗学のすすめ (講談社文庫)

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危険学のすすめ

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