ホワイトカラー・エグゼンプション導入を推し進める経団連

いまの日本で、安倍首相が掲げる再チャレンジ可能な社会の構築構想に逆行するような動きが見られるのは残念です。


2004年3月、小泉内閣が、ホワイトカラーを労働時間規制の適用から除外する制度「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を決定。2005年4月に厚生労働省の「今後の労働時間制度に関する研究会」が発足。2006年からは労働政策審議会で討議し、2007年をめどに労働基準法の改正案を国会に上程する予定となっています。これを経団連は受け容れに積極的であります。これは一層のサービス残業の蔓延が招来するでしょう。


もう遠い昔のことですが、日本の労働時間は長すぎるという欧米からの批判を受けて、1992年6月、「時短促進法」が制定され、労働時間短縮推進計画を立てて、『年間総労働時間1800時間の達成』が盛り込まれました。どこの国のお話でしたっけ。


国際競争激化の中で、人件費カットは経営者にとっての正義でしょう。でも、急激な雇用環境の悪化は国民の活力を奪い取ります。特に、非正社員からの正社員への移動が、きわめて困難な情況が起きていることは致命的です。働いても働いてもサバイバルレベルのワーキング・プアを、いま、対処しないと、国力の疲弊につながります。


ワーキング・プア、嫌な言葉ですね。アメリカのプア・ホワイトを思い浮かべてしまいます。ジョン・スタインベックの「怒りの葡萄」 asin:4102101047 に出演したヘンリー・フォンダのあの悲しげな睫毛が鮮明に目に浮かびます。