17日、平田オリザ「ソウル市民　昭和望郷編」千秋楽

青年団第52回公演（ソウル市民三部作「ソウル市民」「ソウル市民1919」「ソウル市民　昭和望郷編」連続上演。作・演出　平田オリザ）が、吉祥寺シアターにおいて、2006年12月（水）から17日（日）まで、上演され、好評裡に千秋楽を迎えた。

ソウル市民三部作は、「ソウル市民」（1989年初演）でスタート、日韓併合の前年1909年（明治42年）が舞台背景。2作目「ソウル市民1919」(初演2000年)は、日本の植民地支配に対する激しい抵抗運動｢三・一独立運動｣を背景にしている。新作「ソウル市民　昭和望郷編」は1929年（昭和４年）世界恐慌が起きる寸前のソウルが舞台となる。
　

今回は、｢ソウル市民｣三部作を連続上演として、3本が一気に観劇できるシステムを採用した。土用日は13時、16時、19時半と3本立てになっているほか、平日もバランスがよく3本立てで観られるようにスケジュールされた。

三部作を通して、日本の戦前から敗戦まで、植民地サイドに立って描かれた｢ソウル市民｣三部作には、平田オリザの現代を見つめ直す鋭い眼差しが底光りしている。そこに平田の深い人間愛を感じる。それにしても、支配者である日本人の無意識の傲慢さが浮き彫りにされて胸が痛む。
　
青年団第52回公演ソウル市三部作連続上演　案内サイト：
http://www.seinendan.org/jpn/seoultrilogy/p03.html

サイト｢今週のインタビュー｣＊平田オリザ：
http://www.mammo.tv/interview/008_HirataO/index.html

藤原正彦氏のおっしゃる｢国家の品格 (新潮新書)｣も大事だが、日本国を構成する日本人の品性も大切である。このところ、日本人のガラの悪さには、閉口するが、どうやら、その素質は昔からあったようです。高崎宗司著『植民地朝鮮の日本人』をみよ。日本人であることが悲しくなる同朋がいます。

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韓国で研修を受け、後には韓国の日本大使館で勤務したこともある外交官が、拙者『朝鮮の土となった日本人――浅川巧の生涯』を読んで、「植民地時代に日本人はソウルの電車の中で「おいヨボ！」（当時朝鮮人を指し、侮辱の感情があった言葉）と言って、朝鮮の人をどかせることが珍しくなかったことも知った。

つい何十年か前このソウルで、おそらくは極端な悪意がない日本人でも、日常こういう態度で韓国人に接していたということ、また私自身ずっとその事実を知らずにきたことは、ショックであった」と書いている（道上､一二六）。私もショックであった。韓国通の外交官でも、在朝日本人の歴史については知らないのだ。

しかし、こうした話は、大正デモクラシー時代、朝鮮の「文化政治」の時代でさえ、あちこちで見られたものなのである。二つだけ例を挙げよう。

　宗教哲学者で民芸運動の創始者でもある柳宗悦は、声楽家である妻の兼子とともに、一九二〇年五月、朝鮮を旅行した。前年の三・一独立運動に際して、「朝鮮人を想ふ」を発表して、独立運動への理解を示した柳宗悦は、今度は「朝鮮の人に対する情愛と敬念のしるし」として、公演会と音楽会を「朝鮮人に献げ」るために朝鮮へ渡ったのであった。

旅行中に柳は電車に乗った。そこで、柳は二人の日本人の次のような振る舞いを見た。「ふいにその内の商人の方が、彼〔柳のこと〕の右に座っていた立派な老人の帽子をいきなり手につかんで、そうしてそれを他の一人に指して、こう云った。

／「中々うまく出来ている帽子だろう。馬の毛だ。よく見ろよ、こないだ死んだ王様の喪中だと云うんで今は白だが、ふだんは之が黒いんだ。中々手ざわりがいゝやね。」／「妙な格好の帽子だね、所変われば品変わるか。」／之を見た彼はいきなり此商人をにらみつけた。彼は腹立たしさに感情がこみあげてきた。此無礼な処置に、かの老人の心が平和であるべき筈がなかった」（柳、六七〜六八）。

二十年夏、東京の女子英学塾に通っていた黄信徳は、京釜線の車中で、日本人の学生が朝鮮人の農夫を撲っているのを見た。学生が一時空けていた席に老人が座ったというのが撲った理由であった（尹、一二〇）。黄は泣いて抗議した。居合わせた日本の老人は学生を叱り、学生に代わって黄に謝った。（同書｢はじめに｣より）
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一行コメント：平成16年度文化芸術団体重点支援事業受賞
　　　　　　　(平田オリザの現場　18　御前会議　DVD Box カセット)