カメラマン不肖宮嶋茂樹が白瀬中尉を語る

NHK教育テレビ“知るを楽しむ”には、｢この人この世界｣（月）、｢私のこだわり人物伝｣（火）、｢人生の歩き方｣(水)、｢歴史に好奇心｣（木）と4本のカテゴリーがあり、そのうち｢私のこだわり人物伝｣は、講師が己の好きな人物をとりあげて、その人間像によせて薀蓄を傾けて語るといもの。

取り上げられる人物自体の魅力もさることながら、講師の、登場人物への入れ込みようが、尋常ではないほど、熱々なのである。この熱情が人の心を揺り動かす。うろ覚えの人物（あるいは、それまで好きではなかった人まで）が、いっぺんに好きになってしまうほどである。

たとえば、さかのぼれば、種田山頭火をクリエイティブディレクター・コピーライターの仲畑貴志が（2006年12月）、折口信夫を人類学者の中沢新一が（11月）、三波春夫を作家の森村誠一（10月）が、円谷英二を作家･評論家唐沢俊一（9月）が、ジャイアント馬場を精神科医の香山リカ（8月）が、いずれもが、取り上げた人物に、愛情いっぱいに、切り込んでいた。

歴戦のつわものたちのなかにあって、2007年1月の｢この人この世界｣は、報道カメラマンの宮嶋茂樹が、南極探検の白瀬矗（のぶ）中尉を取り上げた。男が男に惚れるというけど、宮島の白瀬中尉への惚れ込みようは、ウルトラＥ級である。怒号級の人物には、怒号級の人がつながるようだ。

宮島の宣言はこんなふうに始まる（音声付きでお伝えできないのが残念ですが）。

｢こんなすごい人がおる！
さあさあ若い衆、覚悟はええか！これから紹介する日本人はおのれらが百人束になっても、かなわぬ強靭な体力と鋼鉄の意思を持ち合わせた人物である。あなたらが彼と同じ島で生まれたことを誇りに思い、彼と同時期に生まれなかったことを幸運に思うであろう｣

とにかく、今から94前、日本人で初めて南極大陸に上陸して白瀬中尉の生き様はすごい。百年足らずで、日本人は、別の国の人間になってしまったようだ。軟弱を絵に描いたような覇気のなさを見たら、白瀬中尉は、驚くに違いない。

桁外れのガキ大将だった白瀬は寺子屋で師匠に北極探検の話を聞いて、極地探検を志したのは11歳。そのとき、師匠が教示したのが「酒、煙草、お茶、お湯をのまない、火にあたらない」という5ヶ条の戒め。師匠は、暗に、実現不可能な白瀬の夢を断念させる気持ちをこめて無理難題を押し付けたのだが、白瀬は、以来東北の地にありながらも、この５戒を守り通した。

体を鍛えるため陸軍に入る。志願して、千島列島に渡り、極寒地獄体験をする。仲間が次々と死んでいく過酷な滞在だった。次はいよいよ北極だ。意気あがる白瀬に衝撃のニュースが飛び込む。

アメリカ人ロバート・E・ピアリーが北緯九十度、つまり北極点に到達したというニュースが入り。しかし、白瀬はあきらめない。北極がだめなら、よし、おらだ南極さ行ぐべ。白瀬ときに48歳だった。

南極に目標を定めた白瀬に次々と困難が襲いかかる。南極探検のとき、白瀬は陸軍中尉だったが、探検隊は全くの個人探検隊だった。探検の意義を説き、国から予算が下りるはずだったが、省庁をたらい回しされ、結局、国から費用は一切出なかった。

白瀬は、大隈重信、新聞、雑誌を巻き込み、その費用を寄付で集める。探検隊は陸員9人、船員18人の計27人。隊員は公募で集められ、その条件は「身長157cm以上、25歳以上40歳未満、独身、歯で梅干の種をくだけること」だった。

しかし、南極海までいく肝心の船はサケ獲り漁船。「あんな船で行けるはずがない」とメディアは一斉にバッシングを始めた。それでも、白瀬は出航、現在の南極観測船「しらせ」の50分の1の開南丸で氷河の海を進んだ。資金不足で出発が遅れ、夏を待つため、オーストラリアで、半年間、野営までして時を待ち、いよいよ南極に向かう。

明治45年（1912）1月16日午後10時、日本南極探検隊は吹きすさぶ暴風雨の中、「決死的な勇気」をもって南極大陸に上陸した。装備は服装ひとつをとっても、シャツ2枚にズボン下を着て、毛皮の防寒服だけだった。

白瀬ほか4名の突進隊は2つの犬ぞりに別れ、往復16日間、500キロを超える南極探検を行った。犬ぞり同士がはぐれ、死の危機を迎えながらの決死行だった。最終到達点は南緯80度5分、極点まであと一千キロ余りだった。

晩年の白瀬は不遇だった。帰国時こそ熱狂的な歓迎を受けたものの、やがて世間から忘れさられていった。探検の借金を個人で抱えた白瀬は、自宅や軍服を売り払い、南極探検のフィルムを手に全国を講演し借金を返済していった。

「南極海の荒海よりも、陸に上がってからのほうが辛かった」。しかし白瀬は借金を返しながら、なお極地探検の嘆願書を政府に出し続けた。借金を返済し終えたとき、白瀬は74歳。もう十年早く返済していれば、もう一度、極点に向かっただろうと宮嶋は予想する。そして戦後まもない昭和21年、白瀬は間借り先の魚屋の二階で人知れず息を引き取った。85歳だった。

宮嶋茂樹。1961年、兵庫県明石市生まれ。カメラマン。日本大学芸術学部写真学科卒業。講談社「フライデー」編集部専属カメラマンを経てフリーランスとなり、「週間文春」を中心に活躍。96年東京拘置所の麻原彰晃の撮影に成功し、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。数々のスクープ写真を発表すると共に、アフガン、イラク、ボスニアなど数多くの戦場の取材を続ける。「不肖・宮嶋」として取材記も著している。著書に『不肖・宮嶋南極観測隊ニ同行ス』（新潮文庫）、『不肖・宮嶋　死んでもカメラを離しません』（祥伝社黄金文庫）、『ああ、堂々の自衛隊』（双葉文庫）他多数。

NHK“知るを楽しむ”私のこだわり人物伝『白瀬矗』サイト：
http://www.nhk.or.jp/shiruraku/200701/tuesday.html

白瀬南極探検隊記念舘ホームページ：
http://kenbun55.hp.infoseek.co.jp/nankyoku.htm

一行コメント：どんなに金を積まれても二度と行きたくない南極写真ルポ

不肖・宮嶋南極観測隊ニ同行ス (新潮文庫)

一行コメント:報道カメラマン宮嶋のバグダット4週間臨戦写真集

不肖・宮嶋inイラク―死んでもないのに、カメラを離してしまいました。

毎日心に花を：オジギソウ
http://www.flowercity.jp/flower_contents_sub1/contents_detail.htm?idx=26&menu=birth

後でゆっくり見るサイト：
・イチローに続き松井も五輪消極的
http://ck.rd.livedoor.com/ck/071-23/0123/
・朝青龍の八百長報道「ありえない！」
http://ck.rd.livedoor.com/ck/071-20/0123/

世界のどかでなにかが：
http://www.otoa.com/home/news_ditail.php?serial=11678

明日の六曜（27日）・行事：友引　小田原道了尊大祭

明日（27日）の日の出（東京）：06:45　
明日（27日）の日の入り　　 ：17:03
（国立天文台天文情報センター）
http://www.nao.ac.jp/koyomi/

今夜の一杯：フェルナンデス・ホワイト（トリニダード・トバコ産ラム）
http://www.alak.jp/shop/detail_s/rum020.html

まだ、英語の勉強を続けている方へ：Mistakes on a resume
http://www.ahajokes.com/off01.html

タータンチェックの美：Callaway
http://www.tartans.scotland.net/tartan_info.cfm?tartan_id=1462

ヨーロッパ古城巡りMot’s European Castle Pace: Barcience Castle in Spain
http://www.castles.nl/eur/es/barc/barc.html

＊世界大トンボの眼＊世界大トンボの眼＊世界大トンボの眼＊

BBC NEWS International version HEADLINE:
Nato to discuss Afghanistan boost
Nato foreign ministers are in Brussels to discuss stepping up the alliance's campaign in Afghanistan, in advance of an expected offensive from the Taleban.
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/6300855.stm

Al Jazeera English HEADLINE:
Curfew follows fatal Beirut clashes
A curfew has been declared in Beirut after four students were reported killed as rival groups of pro- and anti-government students fought at a university, leaving at least 35 others wounded.
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/7154EA75-EE23-48FA-9536-7649C1ED8EB8.htm

中国CHINA.ORG.CN International HEADLINE:
Russia-India Nuclear Deal Finalized
Russia and India on Thursday signed nine agreements, including one arranging for Russia to assist India in building nuclear plants in Tamil Nadu and other places in the country.
http://www.china.org.cn/english/international/197598.htm

朝鮮日報The　Chosun　Ilbo　HEADLINE:
Seoul, Beijing to Put N. Korea Reward Package in Writing
Foreign Minister Song Min-soon and his Chinese counterpart Li Zhaoxing agreed Thursday to set down in writing an initial reward package for North Korea if it starts dismantling its nuclear program after the next round of six-nation talks.
http://english.chosun.com/w21data/html/news/200701/200701260031.html

THE AUSTRALIAN Headline:
Palm Is policeman may face manslaughter charges
A POLICEMAN implicated in the death in custody of a Palm Island man could face manslaughter charges after a review found there was sufficient evidence against him
http://www.theaustralian.news.com.au/story/0,20867,21121417-601,00.html

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雪女郎おそろし父の恋恐ろし
中村草田男

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